記事まとめ
香港では「7月に日本で大地震が起こる」といううわさが拡散し、日本への旅行を控える動きにつながっている。この影響で日本各地の空港で香港便の減便が相次いでいる状況だ。
うわさの発端は、1999年に出版された日本の漫画「私が見た未来」である。この漫画の表紙には「大災害は2011年3月」との記述があり、同月に東日本大震災が発生したことから注目を集めた。さらに香港の著名な風水師らが、漫画の「完全版」に「本当の大災難は2025年7月にやってくる」とする内容があることを取り上げ、今年になってSNSや動画サイトで急速に拡散した。
日本政府が1月に南海トラフ地震の今後30年の発生確率を「70~80%」から「80%程度」に引き上げたことや、3月に新たな被害想定をまとめた報告書が公表されたことも、このうわさに影響を与えている可能性がある。
香港と成田、関西、仙台、徳島、米子の5路線を運航する香港の格安航空会社「グレーターベイ航空」は5月、仙台との定期便を週4便から2便に減便。徳島との定期便も週3便から2便に減らした。宮城県の村井嘉浩知事は4月23日の記者会見で「SNSで広がった非科学的な根拠が、観光面で影響がでるのはゆゆしき問題だ」と述べている。
鳥取県によると、グレーターベイ航空との協議で「うわさの影響で予約が伸び悩んでいる」との説明があったという。米子-香港間は現在、週3往復で、4月の中下旬に85%あった搭乗率は、5月は50%を下回る見通しだという。
気象庁は、日時と場所を特定した地震の予知はできないとしている。野村竜一長官は5月21日の記者会見で「日時を指定した災害情報に振り回されないでほしい。不安に駆られて不合理な行動を取らないよう強く申し上げたい」と述べた。
漫画の作者・たつき諒氏は出版社を通じ、「関心をお寄せいただいていることは、防災意識が高まっている証拠で、前向きに捉えている」などとコメントした。
東京大学の関谷直也教授(災害情報)は「地震発生に関する予言は科学的根拠がなく、7月に地震が起きたとしても、偶然にすぎない。予言やうわさを信じるのは良くないが、地震はいつか、どこかで起きるという前提で備えをすることが重要だ」と話している。
English Translation
A rumor that “a major earthquake will occur in Japan in July” has been spreading in Hong Kong, leading to a trend of people refraining from traveling to Japan. As a result, flights from Hong Kong to various airports in Japan are being reduced one after another.
The rumor originated from a Japanese manga titled “The Future I Saw,” published in 1999. The cover of this manga contained the description “A major disaster in March 2011,” which garnered attention when the Great East Japan Earthquake occurred in that same month. Furthermore, renowned feng shui masters in Hong Kong highlighted content from the “complete version” of the manga stating that “the real catastrophe will come in July 2025,” which has rapidly spread on social media and video sites this year.
The Japanese government’s decision in January to raise the probability of a Nankai Trough earthquake occurring within the next 30 years from “70-80%” to “about 80%,” as well as the publication of a report with new damage estimates in March, may have also influenced this rumor.
Greater Bay Airlines, a Hong Kong-based budget airline operating routes between Hong Kong and five Japanese destinations (Narita, Kansai, Sendai, Tokushima, and Yonago), reduced its regular flights to Sendai from four to two per week in May. It also cut its regular flights to Tokushima from three to two per week. Yoshihiro Murai, Governor of Miyagi Prefecture, stated at a press conference on April 23, “It is a serious problem that non-scientific grounds spreading on social media are affecting tourism.”
According to Tottori Prefecture, Greater Bay Airlines explained during discussions that “reservations are sluggish due to the influence of the rumor.” The Yonago-Hong Kong route currently operates three round trips per week, and the load factor, which was 85% in mid-to-late April, is expected to fall below 50% in May.
The Japan Meteorological Agency maintains that it is impossible to predict earthquakes with specific dates and locations. Director-General Ryuichi Nomura stated at a press conference on May 21, “I strongly urge people not to be swayed by disaster information that specifies dates. Please do not take irrational actions driven by anxiety.”
The manga’s author, Ryo Tatsuki, commented through his publisher, “The fact that people are showing interest is evidence that disaster awareness is increasing, and I view this positively.”
Professor Naoya Sekiya of the University of Tokyo (disaster information) says, “Prophecies about earthquake occurrences have no scientific basis, and if an earthquake does occur in July, it would merely be a coincidence. It’s not good to believe in prophecies or rumors, but it is important to prepare with the assumption that earthquakes will occur somewhere, sometime.”
英語学習のポイント
この記事には、時事ニュースで頻出する英語表現や語彙が多く含まれています。特に注目すべき表現や単語を見ていきましょう。
重要単語と表現
- rumor (うわさ) – 日本語では「デマ」とも訳されることがあります。関連表現として「spread rumors」(うわさを広める)、「unfounded rumor」(根拠のないうわさ)などがあります。
- refrain from ~ing (~することを控える) – 「控える」という表現は、ビジネス英語でもよく使われます。例:「Please refrain from smoking in this area.」(この区域では喫煙をお控えください)
- garner attention (注目を集める) – 「attract attention」や「draw attention」も同様の意味です。「garner」はやや格式高い表現です。
- feng shui master (風水師) – 中国の伝統的な概念に関する英語表現。文化的な専門用語の英語表記の一例です。
- budget airline (格安航空会社) – 「low-cost carrier (LCC)」とも言います。
- load factor (搭乗率) – 航空業界の専門用語。座席の利用率を表します。
- be swayed by ~ (~に振り回される) – 「影響を受ける」というニュアンスの表現です。
- irrational actions (不合理な行動) – 「irrational」は「rational(合理的な)」の反対語です。
文法ポイント
- 受動態の使用: ニュース記事では客観性を保つために受動態がよく使われます。
例: “flights from Hong Kong are being reduced” (香港からの便が減便されている)
- 現在完了形: 過去に起きたことが現在にも影響している状況を表すために使われています。
例: “which has rapidly spread on social media” (急速にSNSで拡散した)
- 助動詞may: 可能性を示す際に使われています。
例: “may have also influenced this rumor” (このうわさに影響を与えている可能性がある)
- 関係代名詞: 文を繋げるために使われています。
例: “The manga’s author, Ryo Tatsuki, who commented through his publisher” (出版社を通じてコメントした漫画の作者・たつき諒氏)
対談: うわさの力と英語表現
エイングリッシュ: 今日は「うわさ」に関する英語表現について話してみるエイ!「rumor」以外にも「gossip」「hearsay」などの類義語があるんだエイ。
ふうかさん: へー!うわさって英語でいろんな言い方があるんですね!私、よくSNSでうわさ話見かけるんですけど、それって英語で何て言うんですか?
エイングリッシュ: SNSでのうわさなら「online rumors」とか「social media buzz」と言ったりするエイ。特に今回の記事みたいに根拠のないうわさは「unfounded rumors」と言うエイ。
ふうかさん: アンファウンデッド・ルーマーですか!かっこいい!でも、なんで香港の人たちはそんなうわさを信じちゃうんですか?
エイングリッシュ: 人は時に「superstition」(迷信)や「confirmation bias」(確証バイアス)の影響を受けるものだエイ。英語では「People tend to believe what they want to believe」(人は信じたいものを信じる傾向がある)という表現もあるエイ。
ふうかさん: なるほど!あ、でも私も実は占いとか信じちゃう方かも…。「May the force be with you」って占いの言葉ですよね?
エイングリッシュ: それはスターウォースのセリフだエイ…。占いなら「fortune-telling」や「horoscope」(星占い)と言うエイ。「May the force be with you」は「フォースと共にあらんことを」という意味エイ。
ふうかさん: えー!そうだったんですね(笑)。でも記事の中に「feng shui master」って出てきましたけど、風水って英語でそのまま「feng shui」っていうんですね!
エイングリッシュ: そうエイ!これは中国語からそのまま英語に取り入れられた言葉エイ。こういった言葉を「loanwords」(借用語)と呼ぶエイ。日本語の「tsunami」や「karaoke」も英語の借用語エイ。
ふうかさん: へぇ~!「防災」は英語で何て言うんですか?記事に出てきた「disaster awareness」ですか?
エイングリッシュ: 「防災」は「disaster prevention」や「disaster preparedness」と言うことが多いエイ。「disaster awareness」は「防災意識」という意味エイ。
対談: 旅行業界に関する英語表現
エイングリッシュ: 今回の記事では航空業界の英語表現もたくさん出てきたエイ。「budget airline」(格安航空会社)や「load factor」(搭乗率)などエイ。
ふうかさん: 私、LCCってよく聞くんですけど、それも「budget airline」って言うんですか?
エイングリッシュ: その通りエイ!LCCは「Low-Cost Carrier」の略で、「budget airline」や「discount airline」と同じ意味エイ。反対に一般的な航空会社は「full-service carrier」や「legacy airline」と呼ばれるエイ。
ふうかさん: なるほど!記事には「flights are being reduced」って書いてありましたけど、これは現在進行形ですよね?
エイングリッシュ: いい指摘だエイ!これは受動態(passive voice)の現在進行形エイ。「be + being + 過去分詞」の形エイ。進行中の状況を客観的に伝えるのに適した表現エイ。
ふうかさん: わあ、難しそう…。あと「round trips」っていうのは往復便のことですよね?私、この前「one way ticket」って言ったら通じなくて…。
エイングリッシュ: 「round trip」は往復、「one-way ticket」は片道切符で正しいエイ!通じなかったのは発音が原因かもしれないエイ。「one-way」は「ワンウェイ」ではなく「ワンウェィ」に近い発音エイ。
ふうかさん: そうだったんですね!私、「weekly」も「ウィークリー」って言ってましたけど、それも違うんですか?
エイングリッシュ: 「weekly」は「ウィークリー」で合ってるエイ!記事の中の「weekly flights」(週間便)という表現も覚えておくと良いエイ。
ふうかさん: よかった~!あ、そういえば記事に「sluggish」って単語が出てきましたけど、これはどういう意味ですか?
エイングリッシュ: 「sluggish」は「鈍い」「低調な」という意味エイ。「reservations are sluggish」は「予約が伸び悩んでいる」という意味エイ。経済ニュースでよく使われる表現エイ。
対談: 防災と予言に関する英語表現
エイングリッシュ: 記事の最後の方で「prophecies」(予言)という単語が出てきたエイ。これは「prediction」(予測)よりも神秘的なニュアンスが強い言葉エイ。
ふうかさん: へぇ~!「prophecy」って映画とかでよく聞きますよね。ところで地震予知って英語で何て言うんですか?
エイングリッシュ: 地震予知は「earthquake prediction」または「earthquake forecasting」と言うエイ。科学的な文脈では「prediction」が使われることが多いエイ。
ふうかさん: なるほど!記事で「irrational actions」って出てきましたけど、「rational」と「irrational」の違いって何ですか?
エイングリッシュ: 「rational」は「合理的な」、「irrational」は「不合理な」という意味エイ。「ir-」は否定の接頭辞エイ。同じように「responsible」(責任ある)と「irresponsible」(無責任な)、「regular」(規則的な)と「irregular」(不規則な)などの例があるエイ。
ふうかさん: 接頭辞って便利ですね!あと、記事に「it is important to prepare」って出てきましたけど、防災グッズのことを英語で何て言うんですか?
エイングリッシュ: 防災グッズは「emergency supplies」や「disaster preparedness kit」と言うエイ。「emergency food」(非常食)、「flashlight」(懐中電灯)、「first aid kit」(救急箱)なども覚えておくと良いエイ。
ふうかさん: なるほど!でも「merely be a coincidence」の「merely」って何ですか?
エイングリッシュ: 「merely」は「単に」「ただ~にすぎない」という意味の副詞エイ。「It would merely be a coincidence」は「それはただの偶然にすぎない」という意味エイ。
ふうかさん: なるほど!ところで私、予言について研究してるんですけど、この漫画を手に入れたら未来がわかるようになりますかね?
エイングリッシュ: それはただの偶然(merely a coincidence)だって教授が言ってるでしょ!何を研究してるんだよ!
確認テスト
今回学んだ英語表現をチェックしてみましょう!
単語・表現チェック
- 「うわさ」を意味する英単語は?
- A) news
- B) rumor
- C) story
- D) legend
- 「~することを控える」という表現は?
- A) avoid to ~
- B) prevent from ~ing
- C) refrain from ~ing
- D) stop to ~
- 「格安航空会社」を意味する表現は次のうちどれ?
- A) cheap airline
- B) discount flight
- C) economy carrier
- D) budget airline
- 「根拠のないうわさ」を表す表現は?
- A) unfounded rumor
- B) baseless news
- C) groundless statement
- D) false information
文法チェック
- 「香港便が減便されている」を英語で表すと?
- A) Flights from Hong Kong reduce
- B) Flights from Hong Kong are reducing
- C) Flights from Hong Kong are being reduced
- D) Flights from Hong Kong have reduced
- 「急速にSNSで拡散した」を英語で表すと?
- A) rapidly spreaded on social media
- B) has rapidly spread on social media
- C) was rapidly spreading on social media
- D) rapidly spreads on social media
- 「ir-」という接頭辞がついた単語の意味として正しいのは?
- A) とても~
- B) 再び~
- C) ~でない
- D) ~の中に
- 「merely」の意味として正しいのは?
- A) おそらく
- B) 単に~にすぎない
- C) 非常に
- D) いつも
※解答は下にあります(背景と同じ色で表示されています)。見たい場合はドラッグして選択してください。
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